雑用に分類されるような業務ばかりを大量にこなしても、都合のよい社員になることはできても、ビジネスの本質の部分は身に付かないうえ、評価も上がらないので給料にも仕事の量が反映されづらくなります。そのため、断り方のポイントを覚えておくと、負担が減って楽になるうえ、結果的に実力も付いて評価を高めやすくなります。
仕事には誰でもできるものから、限られた社員にしか任せられないもの、担当者によって大きく結果が変わるものなどがあります。代わりがいない業務に精通するほど、ビジネスにおいては価値があると判断されるのに対し、アルバイトに任せられるような仕事をいくら効率的に行っても、それだけでは大した能力とは判断されません。安い人件費で数人を雇えば済む話だからです。
解雇しやすく時給も安いアルバイトで可能な仕事であれば、できるだけ自分で行わないのがビジネスの鉄則です。その部分で差別化を図ろうとしたところで、それは方向性の段階で厳しい状況に追い込まれるのが目に見えています。そのため、自分の強みを活かす、あるいは今後の長所や専門分野になるような仕事をできるだけ増やしましょう。それ以外は極力削ってください。
とは言え、雑用であっても、誰かが行わなくてはなりません。そのため、完全にそうした仕事を無視するわけにはいきません。断り方のコツを使うと、量を減らせるのと、それによって評判が悪くなったり、反感を買うことが少なくなると考えてください。
単純に忙しい場合には、仕事の期限を確認する形で相手に気付いてもらいましょう。「立て込んでいるので、できれば明日までにしたのですが、大丈夫でしょうか?」といった聞き方をすれば、相手としても他に手が空いていそうな人に回してくれる可能性があります。
ただし、自分は暇なので仕事の量を減らしたいだけの人もいます。先輩社員にそうした人がいると苦労するので、その場合には上司に業務量の調整を申し出るのも解決策の一つです。直接的に相手に伝えるのは角が立つ上、すべてを断るのは難しい場合もあるので、総量としての調節を願い出れば、むやみに忙殺されずに済みます。
仕事は選ぶのが鉄則
気が弱かったり、根が真面目な方は職場で協調性を持って、協力するのが義務だと思いがちです。しかし、それが個人的に成功をもたらすかと言えば、そうでもありません。特別な強みがない社員は、それを理由にリストラの候補として上位に入ることもあるのです。
結果的に、自分の仕事を選んで強みを磨いてきた人が高給となり、余計な業務の断り方を知らないと、いつまでも大した能力がないまま生きていかなくてはならなくなります。
一つの会社に一生をささげるならともかく、そんな時代ではなくなっています。この状況で、ただのお人よしでいるのはリスクでしかありません。自己主張ができ、時にはNOと言えるようにならないと、会社から搾取されるばかりではなく、同僚にも言いように利用されるだけです。
仕事の断り方は、ビジネスマンとしての能力の一つと考えた方がよいでしょう。会社を経営しているわけではないので、全社としての利益が出れば、あなたの懐も潤うわけではありません。個人としての生き方とは分けて考えておかないといけません。
仕事の優先順位が付けられなければ、それは能力の問題になるので、自ら行うものは積極的にチャンスをつかむ、回避すべき内容なら上手に避ける技術を身に付けていきましょう。最初は抵抗があるかもしれませんが、慣れてくれば反感を買わずにうまく業務を絞る方法が分かってきます。
仕事の量と評価は比例しない
大量の雑用をこなしているのに、いつまで経っても出世しないと嘆いたところで、これは当然です。上司として部下を束ねる能力や、重要な仕事を担当する能力と、単純に量をこなすのは別の問題であるためです。
実際、社長や会長といったトップに近づくほど、重要な仕事だけに集中していきます。中には、社員から見ると暇そうに見える場合もあるでしょう。しかし、彼らの役割は重要な経営判断やトップ営業であり、細かな雑務は部下に任せるのが鉄則です。安月給で働きたくないと思うのであれば、上司としての資質を備えていることをアピールする必要があるので、重要な業務以外はできるだけ減らすのが理想です。